自然への取り組み
リングスターの提供している価値
それは永く使え、安心して工具を預ける事ができる信頼
人類の発展に寄与してきたプラスチックが今問題となっています。
私たちから見れば、まだまだ形だけで明確な根拠や透明性をもっている企業が少ない事、結局はすぐに壊れてしまうこと。
そもそもプラスチックがゴミにならない世の中にするほうがよほど良いでのはないかと、昨今の世の中に振り回されることなく信念を貫き「耐久消費財」としてモノづくりを行ってきました。
今回ご縁をいただき、対馬市から招待を受け、対馬市へ訪問してきました。
そこで目の当たりにした光景はリングスターが考えているより、絶句する光景が広がっていました。
長崎県対馬市の現状
島の形状、潮流などの影響で大量の漂着物が打ち寄せられる、「海ごみの防波堤」ともいわれる長崎県の対馬。
その漂着量は年間約2万〜3万㎥、事業費は約2億8千万円に上るといわれています。
今、この島では
対馬市とボランティアに従事する皆様が回収や分別を行っていますが、流れ着いてくる量と処理できる量がまったく追いついていなく、負担が増えるばかりで海洋生態にも大きなダメージを与えております。
海洋プラスチックについて
海洋プラスチックには2種類の概念が存在します。
海洋プラスチックには、海から内陸50kmに存在し、今後海に流出する可能性があるプラスチックごみを指す「オーシャンバウンドプラスチック」(Ocean Bound Plastic:OBP)と、海から流れ着いたことが証明ができるプラスチックごみを指す「オーシャンプラスチック」(Ocean Plastic:OP)の2種類が存在します。
OBPはまだ海に流出していないため、分別がしやすかったり汚れの付着等も少ない等の理由から、比較的リサイクルがしやすいプラスチックごみです。
一方で、OPは既に海を渡って他の国や場所から海岸に流れ着いているので、波に揉まれ紫外線を浴び、汚れや破損がひどいプラスチックごみです。
そのため回収→分別→洗浄→再分別に膨大なコストがかかってしまい、OBPに比べてリサイクルがしにくくなっています。
現在も良い再利用方法が見つからず、企業も手を出せずにいる状態ですが、埋め立てによる処理もこのままではいずれ限界を迎えてしまいます。
先述したようにOPは回収スキームが非常に困難を極め、国内でも取り組めているのはほんの数社。
陸からの流入減が8割であることからOBPを回収する事は合理的ではありますが、今のバランスでは解決しやすい方だけに焦点があたっているように思えてなりません。
また定義も非常に広く、一部ではグリーンウォッシュと糾弾されております。
この問題にはOBPとOPの両面からの解決が必要です。
このOPをなんとかしたい。しかし、そこには葛藤がありました。
私たちの会社がもともと提供してきた価値は、圧倒的な「強度」でした。
再生プラスチックは、いわば一度成形されて固まったものを粉砕したものを指し、必ず「空気」「ほこり」「ごみ」などの異物が混じります。プラスチックにはPP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)、PC(ポリカーボネート)など、様々な種類があり、融点も異なります。
そのため、混合した樹脂は成形ができず、強度が弱く安定性にも欠け、まともに成形できず不良率を大きく上昇させるのです。
語弊があるかもしれませんので補足しますが、成形できないことはありません。ただ、見た目ではわからないクラック(欠け)などは耐久性を著しく低下させ、目に見えない異物は金型や成形機の破損などのリスクもつきまといます。
しかし、創業から130年を超える歴史や強みを勘案していくうちに、既存の製品の構造が安定しているため、異材であるごみを混ぜても耐久性を担保できるのではないか、と思い至りました。OPを耐久消費財として再生させ、継続販売し、長く使ってもらうことで「本当に世の中のためを考える」きっかけになればと思い、製品化を決意しました。
強度面で不安があったオーシャンプラスチックを耐久消費財へ
株式会社リングスターの工具箱は約136年もの間、長年現場で働くプロの職人向けの工具箱や、ハードなアウトドアに特化した収納ボックスを作り続けてきました。
今回、強度面に不安があるOPを使っても耐久力のある製品を作ることができたのは、素材の強さに頼ってきたのではなく、「どうすればプロの職人が信頼できる、安心で強靭な工具箱を作ることができるのか?」という問いに真摯に向き合い、構造上の強度を追求してきたからです。
今回の「対馬オーシャンプラスチックバスケット」「対馬オーシャンプラスチックボックス」は、奈良工業試験センターの協力のもと耐久力試験を行い、従来の製品と全く変わらない耐荷重数値を記録しました。
強度面で不安があるとされてきたリサイクル素材を使っていても、安心して長く使える製品です。
なぜ「10%」配合なのか
- ①本来、同じプラスチックであったとしても異なる素材を混ぜ合わせて成形することは、成形不良や製品の耐久力の低下、機械の故障に繋がる行為です。これ以上の配合はその危険性が高くなり、大量生産による販売が困難になってしまうため、私たちができる最大限の配合率として10%としました。
- ②先述のように、OPはコストが高くなってしまうため、これ以上の配合を行うと皆様に買ってもらいにくい価格になってしまいます。皆様に購入していただき、弊社でたくさんの生産・販売を行うことでOPが対馬から無くなる可能性が見えてきます。
- ※配合率とその理由を明記することにより、OPの削減数をより分かりやすく、不正なく、皆様にお伝えすることができると考えています。
- ※具体的な削減数に関しましては、下記の図をご参照ください。
リングスターの目指す世界
カタチだけの「SDGs」に終止符を
とめどなく流れ着き、製品化にコストがかかり、再生によって耐久力も保証されないという理由から、企業が継続して扱うことが難しいとされてきたOP。
目の前で困っている対馬の人たちを助けるために、約136年に渡り工具箱を作り続けてきた「プラスチックのプロ」である私たちのノウハウがあるのではないか、と考え、製品化に至りました。
製品化に至るまでの段階で、株式会社リングスターとして何ができるのかを考えたときに、対馬の海を綺麗にするためのこの製品を通して、イメージのためのカタチだけの「SDGs」ではなく、全ての企業がさまざまな問題に本気で取り組む世界を作りたいと考えました。
株式会社リングスターはプラスチック製品をメインとして取り扱うメーカーだからこそ、「正しく選ぶ、正しく捨てる、正しく向き合う」世界の実現を目標に、これからも活動していきます。
リングスターでは、
「対馬オーシャンプラスチックバスケット」1個販売につき100円
「対馬オーシャンプラスチックボックス」1個販売につき200円
を、長崎県対馬市へ寄付いたします。
これから他製品にもオーシャンプラスチックを配合して製品を展開していきます。
その際には100gにつき100円を対馬市に寄付いたします。
※その年度の実績を12月末にまとめて寄付を行い、皆様にご報告いたします。